子供が「音大に行きたい」と言った時に。 その①

2025年11月16日 教室関連

中学生、高校になったお子さまが「音大に行きたい!」「音大付属の高校に行きたい」と言い出したとき、親としては驚くこともあれば、不安に感じることもあるでしょう。
音楽の道は確かに華やかで魅力的ではありますが、同時に非常に厳しく、他の分野と比べて不安定な部分もあります。そこで、お子さまの「音大に行きたい」という夢を応援するために、音大受験に何が必要なのか、お子様へのアドバイスのために考えてていただきたいことをご紹介します。

お子さまの気持ちを理解し、将来を考えるために

①お子様と話し合う
最初に確認すべきことは、お子さまが本当に音楽に対して深い愛情を持っているのか、あるいは一時的な興味なのかということです。
お子さまの言葉に耳を傾け、どうして音大に行きたいのか、どんな音楽を学びたいのかをじっくり聞いてみてください。その上で、卒業後はどんなふうに生きていきたいのかなどを話し合う必要があります。

②音大の美点を理解する
「音大いってどうするの?」「就職できるの?」これらは、多くの保護者の皆さまがお考えの点だと思います。
習い事の段階でさえ、将来の仕事を見据えた「英会話」や「プログラミング」を重視される保護者の方が多く、ピアノ教師として長年保護者の皆さまやお子さまの人生のお供をさせていただいている私も、その流れは当然だと思います。
音大を出た後の人生のほうが、はるかに長いからです。
音大には、卒業試験以外に卒業公演があります。どの大学でも、各学科で一番上手な生徒のみが参加を許される公演で、演奏家としてはある種キャリアのスタートとも言えます。
私の元生徒で、卒業公演に出演しながらも、IT企業に就職したケースもあります。

音大に行くメリット

では音大に行くことは無意味かというと、私はそうは思いません。なぜなら、音大に通うことで「自立した人間として生きていくための総合的な力」を確実につけることができるためです。

音大生は一見優雅に見えますが、音大での生活は「競争」「練習」「反省」「自分と他人とのコミュニケーション」の繰り返しです。
まず、自ら勉強する自主性や主体性を持っていないと、たとえ4年であっても音楽を人生の主軸にするのは難しいです。芸術には正解がありません。時には、講師や教授、クラスメイトと意見がぶつかることがあります。自分自身の考えを深めに学び、技術を伸ばすために限られた時間の中で何度も練習することが求められます。
また、ピアノ以外の楽器はそれだけでは演奏が成り立たない場合が多いので、ピアノ科の生徒に伴奏を頼んだり、頼まれたりすることがあります。そこで練習を通してコミュニケーションスキルやスケジュールを調整する力が磨かれていきます。
それ以外にも、海外留学のチャンスや、海外での演奏機会、ボランティアで多くの人々と接する機会もあるでしょう。
それらを通して、目に見えない多くのスキルを身につけることで、社会人として仕事を始めるとき、一歩抜きん出ることができます。
こういった美点を理解した上で、まずはお子様との対話を通して、適性や、お子様の将来を考えることをお願いいたします。

音大って、どういう試験があるの?

音楽大学や音大付属の高校への進学には、一般的な大学とは異なり、「ピアノが弾ける」こと以外に必要な準備があります。
例えば、音楽大学、音大付属高校には、入試に以下の様な試験があります。

◾️ソルフェージュ
音楽を「聴く」「読む」「歌う」ための基礎力を高める訓練ですが、試験の時には大きく分けて「視唱」、「聴音」、「楽典」の3つの課題があります。

・視唱
楽譜を見て、楽譜に書かれたメロディーやリズムを目で見て、即座に歌います。
通常、受験では1オクターブ程度のメロディーが与えられますが、リズムの精度や音程が求められるので、楽譜の理解と音程への訓練が必要です。

・聴音
演奏された音がどの音なのか、聞いた音を楽譜で書きます。受験する学科によって求められるレベルが違いますが、ピアノ科は結構シビアです。
「ド」「レ」といった一つだけの音を演奏する金管楽器とは違い、演奏時に複数の鍵盤を同時に叩き「和音」で音楽を表現するので、和音の聞き取りも求められるためです。
聴音を強化するためには、さまざまな音楽を聴き、メロディーや和音を耳で聴き取る練習をすることが重要です。

・楽典
音楽理論の基礎について問われます。学生時代の音楽のペーパーテストの応用版というイメージです。音楽における音階や調性(長調、短調)について、音楽の歴史についてなど、幅広く出題されます。
試験では、理論的な理解がどれだけ深いかが試されるため、理論書を使って基本的な音楽のルールをしっかり理解し、問題集を解いて知識を深めることが重要です。
しかし暗記だけとも言い切れず、学校によっては与えられた旋律が何調であるかを推定する曲の調を当てる「調判定」、または「調性判断」という試験もあります。

◾️学科試験
国公立の大学であれば、当然大学入学共通テスト(センター試験ですね)を受ける必要があります。正直にいうと、共通テストの結果が良くないと国立大学の音楽学部に入るのは難しいです。

◾️実技
ピアノ(または、受けたい学科の楽器)を弾く試験です。試験の半年前に課題曲が発表されます。学校によって出やすい課題曲は決まっていますが、学校に合わせた練習が大切です。

◾️視奏
その時渡される、初見の楽譜を弾くことですが、かなりの技術が求められる難しい試験です。
この試験を課していない学校もありますが、仮に試験科目になっていても、ピアノ科のみに求められる科目です。なぜなら、音楽倫理はすべてピアノを元に作られており、すべての音楽の基礎はピアノだからです。
学校の音楽教師になる場合も、授業でのピアノでの演奏が必須なので、教師になる試験でも必要です。金管楽器、弦楽器など他の楽器から音楽教師になる場合、一番の難関がこの試験です。

上記は一般的な音楽大学の学科試験ですが、学校によって試験の内容はまちまちです。どんな学校があるのか、学校ごとの特徴を調べると同時に、どういった科目で受験するのかを調べましょう。

スタジオミトーでできること

スタジオミトーでは、受験に必要な「読譜力」「演奏に必要な正しい姿勢」を生徒の皆さまが自然と身につけていただけるよう、レッスン内容を組んでいるので、基礎をしっかりつけることができます。
その上で、「音大に行きたい」という気持ちを持った生徒さまのために、音大志望者向けの特別レッスンを行なっている予備校や、大学附属の音楽教室のご紹介も可能です。
また、私自身が音大生として、また音楽を学ぶ子どもの親として過ごしてきた経験から、子ども、親、両方の目線からアドバイスをすることも可能です。
もしお子様が、音大にいきたいといったら、ぜひご相談ください。

習い事を始めたときや小さい頃はなかなか進路について想像できない部分もあったり、本人も希望や考えが変わってきますが、多くの道を選べるようにしてあげたいのが親心だと思います。
受験は、子はもちろん親も大変ですが、お父さま、お母さまもご自身のケアを十分に行い、良い未来が選べますように!

次回は、音大受験を検討し始めた方のよくある疑問もお話しします。お楽しみに!

教室訪問にいらっしゃいませんか?

教室訪問に
いらっしゃいませんか?

「無料体験レッスン」というとなんだか味気ないような感じがして、このネーミングにしました。

知り合いの家に遊びに行くような、そんな和んだ気持ちでおいでいただき、ここでピアノを弾いてみたいなぁと思っていただけたら嬉しいです。
ご希望のレッスン方向、お子様やご家族のレッスンイメージや夢などお話し聞かせてくださいね。

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